市会議員になりませんか？

　　　　　　　　　　　

　　　　　　　松浦　元子

桃：この前の会報に「市議は無報酬でいい」って意見が出てたけど、あれはちょっといただけないね。「区民会議とどこが違うの？」って言う市民がすごく多いだろうからね。

梅：今の、大企業の課長クラスぐらいのお給料でもまあいいんじゃないかと思うよ、私は。横浜市の事業はどれも巨大で複雑な上、人気自治体で役人みんな頭いいから、それぐらいの脳みそは要るもの。つまり、全体にもっと質の高い人材でやってくれるなら、ってことだけど。

桃：うふふ、そんな市議なんている？ってか、いたことある？最近、知り合いの市ＯＢに片っ端から「○○さんから見て立派な人だと思った議員さんています？卒業するまでの四十年ぐらいの間に」って聞いてみてるんだけどみんな口を揃えて「いない」って言うよ。

梅：私はあるよ。まあ、市政に関心持ち始めて１２年で、「知人」って言って良さそうな議員は９２人中１８人・「名刺交換程度」に、多少なりとも評判聞いてる議員まで入れても４６人と限られた知見での話だけど。

そりゃ少ないよ。とりあえず、自分と支持者だけが素晴らしいと思ってる「スローガンの連呼」でなく、「どうやら政策のように聞こえる何か」を口にしたり文字にしたりできるレベルまで含めての「政策通」が約半分、どの分野の政策について聞いても一応の答えができる人はその四分の一、さらにそのうち「利権」や「サル山のボス」志向があまりなく、「なんでも反対派」でもない人‥というともう９２人のうち１０人いるかいないか、だろうけど。

桃：少なっ！。これから増える？それとも、減りそう？

梅：残念ながら、このままだと減る一方だと思う。

最後のタイプの過半は当選回数の少ない若手なんだけど、だからベテランに比べて「カネ」にも「ボス」にも興味ありません、て言えるし思える、ってところがあると思う。

それにねえ、自民党の支持者に言わせると「自民党が何か新しいことを始めるなんてことあるわけがない。誰か目立つ動きをするとすぐ足引っ張って止めさせちゃうんだから」そうで。

小さい会派や無所属の議員は独りよがりの垣根の中から出ようとしないし、大きな会派は足の引っ張り合いがヒドくて磨り減っちゃう、ってことみたいね。

桃：でもさあ、横浜の市議って年取るとベテランでも落選しちゃう傾向があるじゃない。新陳代謝していけば、とりあえず減りはしないんじゃない？

梅：そのパイプが細りそうなんだな、これが。公表資料での確認はできなかったんで伝聞ベースなんだけど、今、市議で「世襲」って言われてるのは５人。うち、２００７年初当選が３人。つまり、前回の市議選で「世襲党」は２．５倍と大躍進したわけ。うち２人は公報に中田市長が「応援しています」。もう一人、二期目のとある女性市議には初当選時の恩人を裏切って応援演説しまくって話題に。イエスマン揃えた「中田党」がほしい中田市長の後押しのお蔭、というわけ。「ヨコハマ会」は関係者に言わせると「（力が）ないに等しい」から。このままだと来春また中田氏が当選すると翌々春の市会議員選挙じゃ世襲はぐん、と増えるね、絶対。

桃：横浜市議っておいしい商売ってわけじゃないのにね。高収入のようだけど事情通によれば「普通に活動しても人件費で足が出る」そうだし、尊敬されてないし。

梅：うん。「三バン」なしで当選してる同じ三〜四十代の議員に比べるとぱっとしない前職の人ばっかだよ。国会議員の世襲は本人や家族より党と後援会のため、ってよく言われるけど、横浜市会の世襲議員は単に「老親はもう賞味期限切れだから、支持者引継いで、それまでに比べると格好良くてラクで収入もいい転職ができてラッキー。親もさびしい思いしないで済むし」って感じ？

桃：そんなの、もっといい人が出て蹴散らしちゃえばいいのに。初当選時「父は父、私は私」って格好つけたあのお方様なんて、父親が「いたち川」で自分は「瀬上」で「親子二代で利権の守護神」になっちゃったじゃない。グリーンライン某駅も、地上部分にできた町内会館の看板の揮毫がご尊父でさ、電柱ごとにご子息の看板が並んでて、某々本町まるごと某家の領地になったみたいで息苦しいよ。市議の「新規参入」ってそんなに大変なの？

梅：そりゃ選挙はみんな大変だろうさ。でもね、参考までにお金と時間について、こんな話があるよ。ま、小耳に挟んだ程度の話だからそのつもりで聞いてね。

まずお金のことだけど、昔、全国政党の公認もらって当選した知人が「200万」て言ってたんで、最近までそれが最低だと思ってたの。ところが、この前の選挙で初当選してまだ一期目だけど妙に評判のいい人がいて、その人、なんと「100万円」だって。しかも、初め本人が「100万円用意しました」って言ったら仕事仲間が「半分はとっとけよ。おれが50万出すからさ」。そのお仲間、市内NPOリーダー連の間では結構有名な人なんだけど、全然富豪なんかじゃない。ちょっといい話でしょ。お願いもしてないのに「出る」って言った途端ぽんと50万円出してもらえるほど「双葉から芳しい」人なら大いに有望、ってこと。

期間は「半年」が最短かな？「半年間、駅頭で握手しただけでベテラン押しのけて当選した」って評判になった人がいたよね。

桃：へえー。それなら、もっとなりたいって人が増えればいいのにね。特に、今なんて、就職氷河期で、実は有能なのに低収入に甘んじてる三十前後の人が多いんだから。

梅：そうそう、そういう人がよき指導者を得て真っ当な市民の支持を集めてどんどん当選してくれるようになりゃあ、ねえ。

中田氏は、知識も見識もなしに市長になっちゃったから、まっとうな政策論争を軸に議会とやってくってことができなくて、仕方なく公共事業ばらまいて大物議員や経済人を釣って、幹部連中のギラギラしたのをかき集めて何とか市長でいようとしてる。「インナーハーバー構想」なんて笑っちゃうよね。あれじゃ「年金」や「郵政」で政策論争に慣れた市民にアピールできる対立軸作って勝利するのはそう難しくなさそうだ。

まっとうな方法で、市民も市議も、そして自分自身も、お互いの頭と心を育てあって、どこの都市より賢いことをどしどしやってくれる、そんな新市長を期待しよう。

（梅：わが村の鎮守の神様の紋、桃：隣村の名産、に因んで。）