1. 私とオンブズマン活動 ……　第４回総会を終えて 本間弘彦
2. 第１回 定例会報告　……　 鈴木加奈子
3. 修学旅行はなぜ高い　……　修学旅行談合調査　　　　大川隆司
4. おまわりさん達をウォッチする？
   　……　警察見張り番を立ち上げます　生田典子
5. 事務局からのお知らせ 《会費納入のお願い》
6. 編修後記 犀川博正

　かながわ市民オンブズマンの活動は、全国的にも遅い結成でしたが、昨年は全国市民オンブズマン大会を横浜で開催し、かながわ市民オンブズマンの実力を全国に知らしめた実績は大きいと自負できるのではないでしょうか。ご承知のとおり結成以来、全国的に派生した活動は多々あります。私自身は国民・県民のための活動で印象に残るものといえば、
 

1. 下水道談合事件の住民監査請求から訴訟（係争中）
2. 県・横浜市・小田原市・海老名市・平塚市等の納税貯蓄組合を解散させたこと。
3. 水道メーター談合事件（係争中）
4. 水道管ヤミカルテル疑惑、調査結果を公正取引委員会に提出。公正取引委員会が水道管３社を調査、談合を摘発。（係争中）
5. 全国県議会議員の神奈川野球大会を中止させる活動。
6. 塩漬け土地問題、川崎の奥田さんの徹底した資料分析により、自治省・建設省が問題を放置できなくなって、自治体に指導通達。
7. 神奈川県と横浜市の情報公開条例の見直し、コピー代３０円が１０円に。
8. 県議会委員会傍聴権侵害事件（係争中）
9. 県議会議員の政務調査費支出証拠書類公開請求訴訟（係争中）

　今年、かながわ市民オンブズマンが取り組む問題に・国民・県民のために「県警不祥事事件に絡む情報公開を求める活動」は欠かせません。
　地域でオンブズマン活動をするには構える必要はありません。これはと思うことを徹底して、勝手に自分のペースでやればよいのです。市民のためになることを前提に、自信を持って取り組むことです。市民から見て行政の無駄遣いは真砂の数ほどあります。

　まず、自分が住んでいる自治体の自治体の情報公開を求めたらいかがでしょうか。行政の財務会計上の支出行為は予算を組んで、議会の議決が必要なのです。ですから、どこの部のどんなところに予算が付いているのか調べて、一人でもできることから始めましょう。
 

今回の定例会報告では、今年度の活動方針を中心に議事事項をご報告します。

《 今年度の活動方針 》
１　税金の無駄遣いを許さない。

�@ 監査請求報告
・県観光�鰍ﾌ株式譲渡差止
　　３月17日付で、県の保有する県観光の株式を神奈中ハイヤーに随意契約で譲渡することの差止を求めたもの。４月20日付で、譲渡価格など契約の具体的な内容については協議中で不明確なため、「違法若しくは不当な財務会計上の行為」であると判断することはできないとして、却下。

・Ａ「栄工場改修工事差止」、Ｂ「ごみ焼却施設談合（旭・金沢工場）」に関する監査請求は、いずれも５月10日に市監査委員に提出し、同日付で受理された（請求人はＡが292名、Ｂが63名という大請求人団）。意見陳述が６月２日（金）に行なわれることとなり、次号ではそのご報告ができるかと思います。

�A市民オンブズマン（大阪）からの調査協力要請
・第三セクター調査
「よこはま」ではパシフィコ横浜（市と県の共同出資）について、また「かわさき」では、ＫＣＴ、ＦＡＺ等、既に取り組みを始めている。「かながわ」での取り組みについては引き続き検討することとした。
・包括外部監査の評価
　　県の「包括外部監査報告」は入手済み。ただ、要請のあった採点方法はかなり難しいもので、市民オンブズマンにて再度採点方法を検討することとなった。

�B水道メーター談合住民訴訟
最高裁から取り寄せた刑事記録の謄写代として、10万9000円を「かながわ特別基金」にて負担することが確認された。

２　情報公開を進める運動
・『警察見張番（仮称）』の立ち上げ
７月21日（金）18:30から、サポートセンター402号室において設立総会が開催されます。会員の皆さまのご参加をお待ちしています。

３　県議会の透明度を高める運動
傍聴権侵害訴訟は第１次〜３次まで係属中です。６月議会においては、４度目となる傍聴申請とともに、「県委員会条例改正案」の請願を提出する予定。
４　地域の市民オンブズマンの経験交流と組織の立ち上げの支援
厚木、伊勢原市でオンブズの立ち上げが予定されている。10月の定例会はオンブズマン事務所ではなく、他地域で開催を検討中。
５　学習会・シンポジウムの充実
　　
６　第７回全国市民オンブズマン東京大会を成功させよう。
日　時：８月19（土）〜20日（日）
場　所：日本教育会館（東京千代田区）

７　情報公開市民センターの立ち上げに協力しよう。
ホームページ開設：http://www.jkcc.gr.jp

８　会員拡大と財政基盤の強化
５月末現在の会員数は、154名。今年度から会費を3000円に値下げした。

　上記以外に、今年度の調査企画として「修学旅行談合調査」が大川代表幹事より提案されましたので、次頁に掲載します。このほかにも調査企画等ある方は定例会にて提案して下さい。

《 地域報告 》
・よこはま
　　「請願・陳情の取り扱いに関する請願」および「外郭団体への会計帳簿等謄写権行使についての請願」を５月11日に提出。

・かわさき
　　市出資の第三セクターであるＦＡＺに関する監査請求は却下、住民訴訟の準備中。
また、ＫＣＴに対する補助金支出の差止を求めた監査請求では、市監査委員が「個別外部監査」（市監査委員によるのではなく、公認会計士ら第三者による監査）を認めた。

・ちがさき
　　過去10年間の財政状況を表にし、広報に掲載する等、市民に公表するよう申入れ。

・真　　鶴
　　下水道事業計画について、町民に関心を持って貰えるようニュースを継続して発行するとともに、町長宛の公開質問状を提出する予定。

《 全国関係 》
・ 全国一斉「国の不正支出・警察の不祥事110番」
　　連絡会議の呼びかけで、国の情報公開法施行を前に、国や警察の不正支出、不祥事等についての電話110番を全国一斉に行なうこととなった（７月８・９日）。「かながわ」も、９日のみ実施することとしたが、時間帯・人員等詳細は次回定例会にて。

《その他》
　　国の司法制度改革審議会の意見募集に対し、本間代表幹事がかながわ市民オンブズマンとして意見書を提出することに。
 

２、修学旅行といえば、大阪府内の府立高校・市立高校の修学旅行を取扱う旅行業者９社に対し、昨年６月16日に、公正取引委員会から談合排除の勧告が出ています。
　　神奈川県立高校の修学旅行についても、談合が行なわれているのではないか、―それを調査してみよう、と思いつきました。

３、とりあえず予備調査として県教委に対し、県立高校（約160校）が昨年度実施した修学旅行に関する「報告書」等の公開を請求しました。これは、各学校長から県教委あてに提出されるもので、行先、日程、費用および取扱業者名などが記載されます（「保存期間１年」なので一昨年以前の「報告書」はないとのこと）。

４、県立高校の旅行先は沖縄が多く（４割位）日程は３泊ないし４泊であるといわれています。したがって、行先を「沖縄」としているケースにしぼって比較調査をします。
　  高校教員から得た情報では、学校ごとに入札を行なうが大手旅行業者４社　(ＪＴＢ、日本旅行、近畿日本、東急観光）だけを指名した場合と沖縄の業者を指名に加えた場合とでは、約２万円の差がある、とのことです（１人あたり約10万円と約８万円の差）。

５、各業者が提出した見積書等は学校ごとに、５年間保存されているようなので、本格調査は、各学校に足を運び、保管されている、見積書等のコピーを交付してもらうという作業が必要です（公開請求自体は県庁で一括してできる）。予備調査の結果、「沖縄」を旅行先にしている学校（約60校か）を手わけして訪問します。

６、その結果、４のウワサを裏づけるデータが得られたら、「報告集会」を持った上で、
�@県教委や問題ある学校への申入れ、
�A公正取引委員会への申告、
など然るべきアクションをおこします。
　　「報告集会」では、安値落札が無理なダンピングにはあたらない、という論証も、（航空業界かホテル旅行業界の事業にくわしいレポーターを得て）行なってはどうでしょうか。

７、ちなみに、修学旅行に参加する高校生の数は年間約130万人といわれますから、１人あたり10万円かけるとすれば「年間 1300億円」という大きなマーケットがあることになります。神奈川県よりもっとひどい「１社独占」の県もあると聞きます。
　　神奈川での経験を全国で応用してもらうという意味もある、面白い企画だと思います。

＊本件について５月２日に県教委に対し情報公開請求したところ、６月末まで開示延期となりました。よって、各学校訪問を実施するのは、７、８月頃になると思われますが、その前に調査委員（最低20人くらいは必要か？）の勉強会等考えています。ご参加いただける方は６月の定例会に、ぜひご出席下さい。
 

　ああ、それなのに、それなのに……。
その「おまわりさん」が、女性を襲ったり、覚醒剤を使ったり、さまざまな犯罪的行為を行いながら、それを隠したり、しかも組織的に隠して何事もなかったことにするなんて、あんまりじゃないですかあ。「犬のおまわりさん」のように「困ってしまって、わんわんわわーん」と泣きたくもなりますが、本物のおまわりさん達は、「不祥事」を適当に処理してしまいますから、泣いてなんかいられません。なにしろ、「警察」の中は見えないんですから。見えないところでは、人はどうしても悪さをしたり、それを隠したりするものです。信じていたのに裏切られたことを知ると、私たちはどうしても疑い深くもなりますよねえ。そして「警察」の中で何が起こっているのか知りくなりますよね。

　幸い、神奈川県議会は、今年の２月議会で情報公開条例を改正して、警察も県の公安委員会も情報公開の対象にすべきということを決めました。これだって、去年の秋に私たちが、そのことを求めて請願した時には、時期尚早だなんて言って、取り上げてくれなかったんですよ。ま、いいや。何はともあれ、県警も県公安委員会も、公開対象になったんだから。施行は１年７ヶ月以内、ということですから、たぶんギリギリの来年の１０月ごろになるかもしれません。でも、それを私たちは待っていられません。そこで、この７月２１日に、「警察見張番」を立上げることにしました。

　警察を見張らなければならないなんて、悲しいことですが、その後の県警の様子を見ていても、やっぱり「これでいいのか、神奈川県警」という状況が続いています。もちろん、神奈川だけでなく、今や日本のあちこちで、警察官による犯罪行為が次々とバクロされています。その中にあって、私たちは、自分たちが住んでいる神奈川の警察をウォッチしようというわけです。

　じゃあ、どうやって？
　情報公開制度が実施される前でも公開できる文書があります。例えば一連の「不祥事」の刑事確定記録：
　�@厚木署での暴行事件、
　�A相模原南署の女子大生事件
　�B県警本部長等５名の犯人隠避事件
などです。

　これらは、刑事確定訴訟記録法によって、原則閲覧させなければならないのです。閲覧させない場合の例外規定もあるそうですが、正当な理由がある者からの請求は、閲覧させるのだそうです。それさえ閲覧させてくれない場合は、裁判所へ準抗告をしよう、という次第です。現在は「警察見張番」立上げ準備委員会が準備している段階ですので、まだ「案」にすぎませんが、そして他にもいろいろあると思いますが、とにかく「やっぱり日本の警察は世界一だよー」と自慢できるような警察になっていただくために、みんなで「ここが変だよ、神奈川県警」と、「愛する警察」をウォッチしていきましょう。「見張番」創立の日には、大勢の方の参加を待ってまーーーす。

　「警察見張番」創立総会は、
日　時：７月２１日（金）午後６時半より
場　所：県民サポートセンター　４９２号室
 見張番ページ　http://www.independence.co.jp/police/

《99年度活動報告資料集について》
　　ご希望の方は、資料代500円と送料390円を添えて事務局までお申し込み下さい。会費納入時にお申し込みされる方は通信欄にその旨書き添えて下さい。また、切手同封で郵送にてお申し込みいただいても結構です。

《広報誌発送について》
　　今年度の広報誌編集は、森田、犀川、鈴木で担当します。印刷・発送作業は、現在４、５人で行っていますが、お手伝いいただける方は事務局まで御連絡下さい。また、犀川さんから、印刷機を提供していただきましたので、オンブズ事務所にて印刷作業ができるようになりました。

　私は市民運動の原点は正確な情報を集め、社会のあるべき姿を提案し、主張することだと思っています。そのために私たちオンブズマンは情報の公開を議会や行政機関に根気強く求めています。結成以来、かながわ市民オンブズマンの成果は今回、本間さんが記事の中で述べておりますように社会の注目を集めてきました。

　市民が情報の公開を求めていく作業は、民主主義の実現のためにはきわめて大切なことです。しかしもう一つ忘れてはならないことは、すでに公開され報道されている事柄を積極的に読み込んで分析していくことです。

　たとえば、今月行われる衆議院選挙で与党３党は何を公約したかということにも注目したいと思います。これをバカ正直に読みますと、「日本が現在直面しているありとあらゆる問題に積極的に果敢に取り組む決意」が表明されています。

　しかし注意深く読んでみますと、この言葉の中には「断行」という言葉がやたら滅多に使われていることに気がつきます。これは少し不自然ではないかと思うのです。

　私たち市民にとっては「断行」してくれても、「さりげなく」おこなってくれても、要するに為政者がそれを実現してくれればそれでよいのです。彼らがあえて強い口調で唱える裏には不安があるのでしょう。

　日本の歴史の中で為政者が「断固として」とか「必勝の信念」という威勢の良い言葉を口にしたときにはロクな結果が出ていないのです。

　それにしても、日本の運営者たちの言葉は語調だけが強く、そして内容は軽くなっています。「神の国」発言は世論のひんしゅくを買いましたが、威勢が良くて内容のない言葉は野党の公約にも見られます。

　それに比べて、私たちかながわ市民オンブズマンが唱える素朴な疑問の「さりげなさ」これはひそかに誇れるものではないかと思っています。

　以上、不慣れな編修の言い訳を兼ねて…